カテゴリ: 小説

人類が火星にやって来る物語を年代ごとにおっていく。いくつもの短編を紡いだ形の本。

私が特に好きな物語は、最初の方のいくつか。最初の方の話は、人類が初めて火星に降り立って、火星人と出会う話。

・イラ  間接的表現で何が起こったか読者に想像させる書き方が粋。
・地球の人々  火星人の性格や行動が面白く描かれている。
・ 第三探検隊  不気味さとスリルが際立っていて、サスペンスのよう。
・月は今でも明るいが  侵略することを良しとしない一人の探検隊員の孤高の戦いや精神的苦悩の美しさ。痛烈な植民地批判。

次どうなるか予測不可能で、気になって仕方がなくて一気に読んだ。作者自身も問題をどう解決するか書きながら思いついたんじゃないかと思うくらいの予測不可能さ。読書中にアハ体験を何度もするような感じ。作中に出てくる詩が美しいんだけど、物語自体が芸術作品のように美しい。意外にバッドエンドな物語が多いけれど、希望が含まれていて、読み終えた後はポジティブな気持ちになれる本だと思う。
 
火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)
レイ ブラッドベリ
早川書房
2010-07-10


 

この本は何度も何度も読んでる。

両親との関係の描写が凄い。実感があって読んでいて、苦しくなって泣きそうになる。その中でもこの文章は特別。
親馬鹿と一口に言うけれど、親の馬鹿程有難い物はない。祖母は勿論、両親とても決して馬鹿ではなかったが、その馬鹿でなかった人達が、私の為には馬鹿になって呉れた。勿体ないと言わずには居られない。
二葉亭 四迷
新潮社
1949

平凡―他六篇 (岩波文庫)
二葉亭 四迷
岩波書店
2005-02

 

「銃」は中村文則さんのデビュー作。又吉さんがお薦めしていて読みたいなと思ってた。ダビンチで中村文則特集をしていたり、文芸誌で対談をしていたり、たまたまかもしれないけど、よく目にして。又吉さん、西加奈子さん、村田沙耶香さんを筆頭に、いろいろな人が中村文則さんとその本について、あちこちの雑誌で語っていた。

そんなことで興味をもって、デビュー作である「銃」を手にとったのです。

めっちゃ面白かった。

ドストエフスキーような、登場人物(ここでは主人公一人)の精神世界というか、考えを深く、ひたすら追っていく感じ。
もともと"おかしな"ところ("おかしい"という言葉で片付けられないものを中村さんは書いているんだけど、他に言葉が見当たらないので、とりあえず"おかしい"と書く)がある主人公が、偶然銃をひろったことによって、"おかしな"部分が増幅して表面化していく。それを第三者からの目線ではなく、おかしくなっている主人公の目線から書いている。一人称の主人公目線で書かれていて、読者は一見、主人公の行動に納得しながら読み進める。それを周りの登場人物たちの反応と台詞で、なんとなく(自分は)何かおかしいということに、主人公と同じ目線で読者も気づかされる。それがすごく面白くい。
また、犯罪を犯す人の内面の描写に、作者の、レッテルを貼らずに人を理解しようとする人となりを感じた。

銃
中村 文則
新潮社
2003-03



銃 (河出文庫)
中村 文則
河出書房新社
2012-07-05




何もかも憂鬱な夜に 中村文則

何もかも憂鬱な夜に
中村 文則
集英社
2009-03




カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)
ドストエフスキー
新潮社
1978-07-20





カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)
ドストエフスキー
新潮社
1978-07-20


カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)
ドストエフスキー
新潮社
1978-07-20


罪と罰〈上〉 (新潮文庫)
ドストエフスキー
新潮社
1987-06-09

 
罪と罰〈下〉 (新潮文庫)
ドストエフスキー
新潮社
1987-06-09

 

面白すぎるエッセイ。ホロリと泣ける。人への暖かい眼差し。

目次だけでも面白そう。
 
・ダイエットドキュメンタリーを撮る
・地獄の100キロハイク
・コンセプトカフェに潜入する
・スマートなフォンに振り回される
・リアル脱出ゲームで絶望する 
などなど 

エッセイを読んでこんなに笑ったのは、「もものかんずめ」以来。


時をかけるゆとり (文春文庫)
朝井 リョウ
文藝春秋
2014-12-04






もものかんづめ (集英社文庫)
さくら ももこ
集英社
2001-03


 

「レンタル世界」は、「コンビニ人間」のテーマと共通するところがあると思う。

世間で上手くやっていくために、友人、恋人、家族などをレンタルして体裁を整える。

正直に話せない、世間に受け入れられないと思っていることって、誰もが持っていると思う。だけどそのポイントはそれぞれ違うので、自分だけだと思っている「異」の部分を、なかなか打ち明けることができない。

言えないことを持つしんどさ、窮屈さ。
体裁を整えるために言った嘘に苦しめられること。
社会の善しとするものの枠に自分をあてはめようとする登場人物たち。

「コンビニ人間」では、主人公がそのような状況を代表する人物であったのに対して、「レンタル世界」では、主人公が「体裁を取り繕う」のを否定する、「素で勝負!」の体育会系若者でした。まるで一つの物語の中の主人公AとB(「冷静と情熱の間」みたいな)のようでもありました。

コンビニ人間 村田 沙耶香


ままならないから私とあなた
朝井 リョウ
文藝春秋
2016-04-11


 

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