「レンタル世界」は、「コンビニ人間」のテーマと共通するところがあると思う。

世間で上手くやっていくために、友人、恋人、家族などをレンタルして体裁を整える。

正直に話せない、世間に受け入れられないと思っていることって、誰もが持っていると思う。だけどそのポイントはそれぞれ違うので、自分だけだと思っている「異」の部分を、なかなか打ち明けることができない。

言えないことを持つしんどさ、窮屈さ。
体裁を整えるために言った嘘に苦しめられること。
社会の善しとするものの枠に自分をあてはめようとする登場人物たち。

「コンビニ人間」では、主人公がそのような状況を代表する人物であったのに対して、「レンタル世界」では、主人公が「体裁を取り繕う」のを否定する、「素で勝負!」の体育会系若者でした。まるで一つの物語の中の主人公AとB(「冷静と情熱の間」みたいな)のようでもありました。

コンビニ人間 村田 沙耶香


ままならないから私とあなた
朝井 リョウ
文藝春秋
2016-04-11