「賢者とは、将来に起こることが見える人のこと」とよく言う。でもたぶん、賢者とは、遠い将来に怒ることなんか見えるもんじゃないと知っている人のことだ。
という言葉の具体例。読むと、なるほどなるほど、となる。
IBMの創業者であるトマス・ワトソンはあるとき、コンピューターなんて数台あれば十分だろうという予測を口にしている。
皆さんが、時代遅れで乱雑で一貫性に欠ける英語だのフランス語だのスワヒリ語だのなんて言語でこの本を読んでいて、エスペラントで読んでいないのは、半世紀前の予測に反している。世界はもうすぐ、論理的で曖昧なところがなくプラトン的にデザインされた共通言語、エスペラントでやりとりするようになる、それが当時の予測だった。
 同じように、私達は連休を宇宙ステーションで過ごしてはいない。三〇年前、そんなことが幅広く信じられていた。実業界のうぬぼれを示す一例として、今はもうなくなってしまったパン・アメリカン航空は、月と地球の往復航空券まで前売りしていた。ナイスな予想だ。でも、そう経たないうちに自分たちが破産するのを彼らは予想できなかった。(下巻10ページ)
この読みやすさ。面白さ。


ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ
ダイヤモンド社
2009-06-19


ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ
ダイヤモンド社
2009-06-19