オーストラリアが発見されるまで、旧世界の人たちは白鳥と言えばすべて白いものだと信じて疑わなかった。
はじめて黒い白鳥を発見したとき、一部の鳥類学者は驚き、興味を持ったことだろう。(中略)
この話は、人間が経験や観察から学べることはとても限られていること、それに、人間の知識はとてももろいことを描き出している。  
 この本では、それを日常に当てはめて考えていく。この本でのブラックスワンとは、
1.異常であること。普通に考えられる範囲の外側にあること。
2.とても大きな衝撃があること。
3.異常であるにもかかわらず、私たち人間は、生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること。
面白い話がある。よくある、お金もちになりたい人のための本の論理がいかに破たんしているか。
億万長者になれる10のステップ(195ページ)
大きな肩書を持っていたり、大きな仕事をしたとか腕利きを集めて、彼らの特徴を調べる。そういう大物に共通しているものを探すのだ。勇気があって、リスクをとって、楽観主義で、云々。それから、そういう特徴があるおかげで、なかでもリスクをとることで、成功する可能性が高くなると推測する。ゴーストライターが描いたCEOの自伝を読んだり、こびへつらうMBAの連中を前にCEOがやるプレゼンテーションに出席したりしても、たぶん同じような印象を受けるだろう。(中略)
では、墓場の方を見てみよう。 失敗した人たちの墓場で眠る連中には、こんな共通した特徴がある。勇気はあって、リスクをとって、楽観主義で、云々。億万長者の母集団とほんとにそっくりだ。能力の点ではいくらか違いがあるのかもしれないが、両者を本当に大きく隔て
ている要素はほとんどただ一つ、運だ。純粋な運だ。
 
失敗した人達の自叙伝は普通出版されない。でも確かに、挑戦している時点で、ほぼほぼ同じことをしているのだろうと思う。芸人さんとか、大金持ちになったKindle作家とか、実力差はあるかもしれないけれど、運の割合が大きいんだろうな。

続く


ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ
ダイヤモンド社
2009-06-19



 

ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ
ダイヤモンド社
2009-06-19