経営者の条件の続き

第六章、第七章 意思決定についてより

①問題の種類を知る。問題の種類は四つに分類される。
第一に、基本的な問題の兆候にすぎない問題がある。

仕事の中で起こってくる問題のほとんどがこの種のものである。例えば在庫についての決定は決定ではない。決定の適用にすぎない。

第二に、当時者としては例外的だが実際には基本的、一般的な問題がある。

合併の申し入れを受け入れた企業は、それを受け入れるならば将来同じような申し入れを受けることはない。その企業、取締役会、経営陣に関するかぎり二度と起こらない特殊な問題になる。
 しかし合併は、常にどこかで起こっている基本的、一般的な問題である。したがって申し入れを受け入れるか否かを判断するには合併についての原則を知る必要がある。それを知るには他の組織の経験に学べばよい。

第三に、真に例外的で特殊な問題がある。

第四に、そのような何か新しい種類の基本的、一般的な問題の最初の表れとしての問題がある。

②必要条件を明確にする。ここが一番時間がかかる。
③何が正しいかを知る。
④行動に変える。
⑤フィードバックを行う。


正しい意思決定の要件として、三つの理由(組織の囚人になることを防ぐ。選択肢を与える。想像力を刺激する)から、意見の不一致を必要とする。
これも面白いともう。できるだけ、違う意見の人を選んで、違う意見を言わせることが良いと。
人事のところでも、意見の違う人、タイプの違う人を雇うことが書かれていたけれど、それと同じことをもう一度違う角度から書いている。


現代経営学を確立したと言われているP.F.ドラッカーの、一般人に向けて書かれた本。読みやすかったです。日々の仕事に役立てられることが書いていたので、メモとして書き記します。

第四章「人の強みを生かす」から

弱みではなく、強みに焦点をあてること。通常集団は、リーダーとの距離は一定であるので、リーダーの能力が高いと、集団の能力も上がるとされる。強みに焦点をあて、役割分担をする必要がある。強みに焦点をあて、何をできるかからスタートする評価が次のものです。
⑴よくやった仕事は何か
⑵よくできそうな仕事は何か
⑶強みを発揮するには何を知り何を身に着けなければならないか
⑷彼の下で自分の子供を働かせたいと思うか
①そうであるならなぜか
②そうでないならなぜか (p.120)
面白かったのは、
「手放せない。いなくては困る」という声に耳を貸してはならない。
というもの。
ある人が「欠くことができない」という理由は三つしかありえない。第一に、その者が実際には無能でありかばってやる必要がある場合である。第二に、弱い上司を支えるために、その者の強みを使っている場合である。第三に、重要な問題を隠すため、あるいは取り組みを遅らせるために、そのものの強みを使っている場合である。
いずれの場合であっても、「欠くことができない」をいわれる者は、なんとしてでも直ちに移動させるべきである。さもなければその者の強みを壊してしまう。
続く。


めっっっちゃ面白かったです。毎ページ声をあげて笑いころげながら一気に読みました。例えば、副詞の多様は避けた方が良いという話の例に、

「そこへ置いて!」と、彼女は叫んだ。
「かえしてくれよ」と、彼は懇願した。「おれのじゃないか」
「冗談じゃないわ、ジェキル」と、アタースンは言い放った。

この文章では、"叫んだ"と"懇願した"と"言い放った"の三つが、会話を説明する言葉だ。これに副詞を加えるとどうなるか。

「そこへ置いて!」と、彼女は居丈高に叫んだ。
「かえしてくれよ」と、彼は卑屈に懇願した。「おれのじゃないか」
「冗談じゃないわ、ジェキル」と、アタースンは横柄に言い放った。

元の文章に比べて、あきらかに間の抜けた感じがする。理由は一目瞭然だろう。あまりにも陳腐であり、笑止千万としか言いようがない副詞のせいだ。(中略)
 作家のなかには、副詞無用のルールをかいくぐるために、動詞にステロイドをたっぷり注入する者がいる。結果はパルプ・フィクションやペーパーバックの書きおろしのお馴染みの文章が一丁あがりとなる。

「銃を降ろせ!アダースン!」とジェキルは凄んだ。
「キスをするのをやめないで!」と、シェイナはあえいだ。
「しつこいやつだな!」と、ビルは吐き捨てた。

これだけはやめてもらいたい。お願いだ。(p.167-168)

沢山の本が例として出てきて、著者は本当に本が好きなんだなぁと、感じました。世間的に格式高いとされている本も、駄作も臆せず実名と実例を出して批判するところも魅力的です。この本を読んでスティーヴン・キングのファンになりました。

「書くことについて」書くことは、作家にとって自叙伝のようなものだと思います。この本の執筆中に大事故にあったこともあってか、文章から、切実さ、誠実さ、力強さ、自信、感謝などを感じました。
ものを書くのは、金を稼ぐためでも、有名になるためでも、もてるためでも、セックスの相手を見つけるためでも、友人をつくるためでもない。一言でいうなら、読む者の人生を豊かにし、同時に書くものの人生も豊かにするためだ。立ち上がり、力をつけ、乗り越えるためだ。幸せになるためだ。おわかりいただけるだろうか。幸せになるためなのだ。(p.358)

(第一部に、「履歴書」として自身の人生の話がありますが、これは今回とばしました。なので、これは第二部「書くこととは」以降の感想です)


書くことについて (小学館文庫)
スティーヴン キング
小学館
2013-07-05


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